宮沢賢治のもっとも有名な作品
「アメニモマケズ」
この作品には宮沢賢治の誓いにも似た思いが込められています
法華経をよりどころとして生きる事を誓った宮沢賢治ですが
そもそも、その法華経とは
どんなことを説いているお経なのでしょうか
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法華経とは
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法華経は、お釈迦様の晩年8年間で説かれた教えであり
お釈迦様の教えの集大成です
その内容は28章に分かれています
第一章の序章では、お釈迦様に付き従った阿難の
「如是我聞」=「かくの如きわれ聞けり」から
偉大な教えが説かれることを感じさせるプロローグにあたります
第二章では、お釈迦様の崇高な境地が説かれ
全てのものは皆等しく仏になれるという
一乗の教えが説かれて行きます
第三章の譬喩品では、羊、鹿、牛の三車
すなわち声聞、縁覚、菩薩の三乗の教えによって
火につつまれる家にも等しい三界から
仏が衆生を導き出そうとしたことを説きます
第四章では、富豪が幼い子供を見失ってから数十年
その子との出会いを実現するが
すぐには親と名乗らずに
まずは便所掃除の仕事を与え
やがて資産の管理をゆだね
子が成長したのを見届けて
臨終の床で人々に彼が自分の息子であることを明らかにし
一切の財産を相続させたという物語から
自分は仏になれないと思っている人々にも
等しくホトケになれるという事を説いています
その他にも、色々な例えやエピソードを通して
「全ての存在は皆等しく仏になれる」という事を説いています
どんな身分の人も、動物も、山も川も草木さえも
全てが仏になれるのだ
という事です
色々な説もあるかと思いますが
わたし個人として、この法華経の中で非常に重要な章は
第二十章「常不軽菩薩品」ではないかと感じています
それはなぜかと言いますと
この常不軽菩薩品にこそ、仏教のエッセンスが詰まっている法華経の
中心理念が描かれているからなのです
そして、熱心な法華経信者である宮沢賢治もそのことを知って
作品の中に投影しています
その作品が、あの有名な「アメニモマケズ」なのですが
アメニモマケズと常不軽菩薩品がどう関係しているかを
お話ししていきたいと思います
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第二十章「常不軽菩薩品」
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釈迦の入滅後の500年から1,000年の間の期間の事を
像法(ぞうぼう)と言いますが
像法とは、仏教で、正法に似た仏法のこと
疑似仏法が広まっている時期という事です
仏の教え(教)だけが存在して
それを学び修行すること(行)や
覚りを得ること(証)がない時期です
仏教が形骸化していく時代の中で
自分は悟りを得たという勘違いをしているお坊さんたちが
そこかしこで、したり顔で説法を説く中に
一人の修行僧が出現しました
その修行僧は、経典を読誦する事よりも
礼拝の修業を続けていました
相手が誰であれ
「私は、あなたたちを深く敬います
けっして軽蔑しません
だって、あなたたちはみな、菩薩の道を実践して
将来きっと仏になるから」
と呼びかけて、礼拝したのです
多くの人は、自分のことをバカにされたと思い
不快感をあらわにし
怒り悪意を持ちののしり、修行僧を迫害しました
それでもその修行僧は目の前にいる人々を敬い続けました
自分を迫害する人々に対して
「全ての人は等しく仏になる」のだから
今目の前にいる人も見な、仏なのだと
この24文字を持ってただただ、合掌礼拝を続けました
我深敬汝等
不敢軽慢
所以者何
汝等皆行菩薩道
当得作仏
常にこの二十四の文字を発し
常に相手を軽んじないということから
「常不軽」という綽名(あだな)がつけられました
宮沢賢治はこの常不軽菩薩のように生きたいと願い
この菩薩をモデルとして
手帳に「雨ニモマケズ」を書きました
アメニモマケズの「デクノボートヨバレ」とは
この法華経第20章に描かれた常不軽菩薩のことなのです
そして、このデクノボーである常不軽菩薩が
常々口にしていた24文字の言葉を
24文字の法華経とも、略法華経ともいい
日蓮も高く評価していました
まさに、この24文字に
法華経のエッセンスが凝縮されているのです
お釈迦様の言葉の集大成であり
仏教のエッセンスを凝縮したものが法華経であり
その法華経をさらに凝縮したものが
常不軽菩薩が唱え続けたこの24文字の法華経です
法華経信仰のアツかった宮沢賢治が病床で書いた詩「アメニモマケズ」は
彼の法華経信仰者としての、不軽菩薩への礼拝の詩であり
宮沢賢治の祈りと願いが込められているのです
なぜ、この詩がこんなにも多くの人から受け入れられているのかと言えば
そこに、宮沢賢治のバイブレーション
祈りを感じることができるからなのだと思います
宮沢賢治と法華経②
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