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『茶肆ゆにわ』の庭に息づく物語

日差しに春の暖かさが感じられる頃となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

ここ『茶肆ゆにわ』では、毎年この時期になると、夏に向けてお庭の手入れが行われます。ちょうど人が季節の変わり目に衣替えをするように、お庭の植物たちも、季節に合わせて植え替えられたり、丁寧に剪定されたりと、装いを新たにするのです。



いつも『茶肆ゆにわ』のお庭を手入れしてくださる庭師の方との出会いは、さかのぼること十数年、様々なご縁が繋がった結果でした。

当時、「北極老人」が特に気に入っていた、ある建築物がありました。その設計に携わった方がいらっしゃったのですが、実に不思議なご縁があり、その設計士の方が、『茶肆ゆにわ』を創るにあたって全面的に協力してくださることになったのです。

そして、『茶肆ゆにわ』をどのような空間にするか構想を練る中で、「お庭があると素敵ではないか」というアイデアが生まれました。その時、設計士の方がご紹介くださったのが、現在お世話になっている庭師の先生です。

実は、この庭師の先生は、世界的に有名な建築物やモニュメントの庭園も手掛けていらっしゃる、大変優れた腕前の持ち主なのです。

その庭師の先生が手を入れてくださるたびに、お庭はもちろんのこと、『茶肆ゆにわ』の空間全体の印象も大きく変わり、それまでとはまた違う、新たな空気が生まれます。

ちなみに、お庭の手入れは年に二回。春先(3月〜4月)と、冬の訪れを感じる頃(11月〜12月)に行われます。

冬には風情ある松葉が敷かれ、植物は次の季節に備えて剪定されます。
そして春、夏に向けては、彩りを添える新たな植物が加わり、季節ごとの美しい表情がつくられていくのです。



お庭の見えるお座敷の席に腰を下ろすと、添水(そうず)から水が滴り、静かな波紋を描く音が聞こえてまいります。その清らかな音は、店内に流れる音楽と心地よく重なり合い、ここだけの特別な空間を創り出してくれます。



この空間で、美しいお庭を眺めながら、ゆっくりとお茶を味わうひととき……。「この瞬間がたまらない」と、遠くは北海道をはじめ、全国各地からはるばる足を運んでくださるお客様もいらっしゃいます。

窓を開けて、そよぐ風を感じながらゆっくりと読書をされる方。あるいは、お庭の植物を一つひとつ興味深そうにご覧になる方。皆様、思い思いの静かな時間を過ごされています。



わたしたちゆにわのスタッフも、休憩時間にお茶を飲みに来ることがありますが、お座敷からお庭を眺めていると、その穏やかな心地よさに誘われて、いつの間にかウトウトと眠ってしまう者もいるほどです。



このように、たくさんの方々に親しまれ、愛でられながら、『茶肆ゆにわ』のお庭は、今日もみずみずしく、凛とした空気をまとっています。

まだ『茶肆ゆにわ』へいらっしゃったことがない方も、ぜひ一度、このお座敷で、ご自分だけの静かな時間を見つけにいらしてください。心よりお待ちしております。